2019年8月24日(土)、東京都人権プラザ(港区芝2丁目 256 スクエアビル)にて、トークイベント【ネットといじめ】が開かれました。
つい先日も、「あおり運転・暴行事件」の「ガラケー女」と犯人扱いされて、氏名・顔写真・経営する会社などがSNSで拡散された女性が、「デマ情報第1発信者」のみならず、単に「リツイート」した人物も含めて「名誉棄損」などで訴える流れの中、注目されたこの日のイベント。
私たち自身、被害者にも加害者にもなる危険性と隣り合わせで生きているので、トークイベント登壇者4人(スマイリーキクチ、入江杏、山崎聡一郎、隈有子)の貴重な発言内容をシェアします。
スマイリーキクチ氏は笑顔で「幸せになって相手を見返してやろう!」
まずはスマイリーキクチさんが、「女子高生コンクリ殺人事件」の犯人の一人とされたデマ情報と、20年以上にわたって闘い続けている経験を語りました。
そのお話の中から、重要な教訓を5点に整理します。
①相手の挑発に乗ってはダメ!
「”けんか”状態にするのではなく、被害者と加害者の関係を明確にする」。
そのためにも、相手の主張(デマ)は敬語を使い丁寧に否定して、「これ以上は刑事告訴します」ときっぱり態度を明確にする。
②「言論の自由」には「言論の責任」が伴う
「みんなもやっている」
「だまされた自分は被害者」
「正義感からやった」
加害者はこう供述しますが、「言論の自由」には「言論の責任」が伴い、デマ拡散に手を貸した場合は「慰謝料」や「信用失墜」という現実が待ち受けています。
③「RTは借金の連帯保証人」
“どうしたらデマ発信や拡散を思いとどまらせる牽制・抑止力になるのだろうか?”
そんな問題意識を持ち続けている私にとって、「リツイートは借金の連帯保証人になることと同じ」「子供にスマホを買い与える時は、名誉棄損の慰謝料100万円を準備しておくべき」という”痛み”を情報発信者自身が感じることが抑止力になるんじゃないかと思いました。
その“痛み”をリアルに感じるためにも、「ネット中傷」被害者裁判での判例が重要であり、共通の財産なんだと思ってます。
④フィルタリングを自分の心に装着する
スマホには「フィルタリング機能」がありますが、自ら情報を発信する場合も「フィルタリングをかける」=「ちょっと立ち止まって相手の立場に立って考える」ことが大切です。
「ネット上での匿名性」は「透明人間」に近いものがありますが、それでも「ぶれない人間性」がリアルでもネットの世界でも問われるということです。
⑤「幸せになって相手を見返してやろう!」と「ま、いっか!」精神
こうしたマインドの持ち主だったからこそ、笑顔で闘い続けてこれたのでしょう。
辛いときに支え続けてくれた芸人仲間も数多くいて、「 20年間のにわたるネット中傷の物語」の主人公そのもの! そう感じたスマイリーキクチさんの講演でした。
入江杏さんが語った「苦しみや悲しみが”エンタメ”として消費される」時代に求められるものとは?
「苦しみや悲しみが”エンタメ”として消費される」時代と語る入江杏さん。
そんな時代に求められるのが、どちらも「共感」を意味する”Sympathy” と “Empathy”。
“Sympathy” が自分の経験に重ね合わせて、相手の悲しみなどに「共感・同情」するのに対して、”Empathy”は相手の立場に立って、悩みを分かち合う。
入江さんは「助けを求め合える風土」「相手の立場を理解するためにもロールプレイが大切」と訴えました。
山崎聡一郎さんと隈有子さん
『こども六法』が大反響の山崎 聡一郎さんは、「肉体的暴力よりも、言葉の暴力の方がダメージが大きい」と語り、「法律は最低限の道徳・ルール」と強調しました。
【まとめ】そこに愛はあるのかい?
誰もが気軽に始められるSNSですが、ネットリテラシー(=情報ネットワークを正しく利用できる能力)はまだまだ立ち遅れています。
また、複雑な利害が絡み合い、それぞれの立場に基づいた「世界観」を抱いている今の世の中では、「意見の衝突」が起きるのも必然的です。
にもかかわらず、全国や世界中の人々と交流し、喜びも悲しみも共有できるSNSって素晴らしいツールだと感じています。
だから、最後は私がリアルな人間関係でも、ネット上の人間関係でも、いつも自分自身に問いかけている言葉で締めたいと思います。
“そこに愛はあるのかい?”
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